2025/03/25【PRi愛媛】第1295回「朴庵例会の風光」​(第25回)黒瀬英作の夢を語ろうMy Friendは、坂村真民さんの風光・神渡良平先生!!

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第1295回「朴庵例会の風光」​(第25回)黒瀬英作の夢を語ろうMy Friendは、坂村真民さんの風光・神渡良平先生!!

自分の花を咲かせよう」世界平和のための大宇宙大和楽訓読会を開始！
（真民さんの「詩国」の原点、一遍上人と空也上人に倣いながら読み進めます）

第三章 二度とない人生にかけた思い
１ 詩碑建立の推進役となった鍵山秀三郎さん
［不確実性の時代のもっとも確実な原理］
真民さんの一万篇あまりの詩の中で、もっとも人気の高い詩の一つが「二度とない人生だから」です。真民さんは『随筆集 めぐりあいのふしぎ』でこの詩をこう解説されています。
「わたしが『二度とない人生だから』と強く言うのも、どんな苦難にも打ち耐えて生き、この一度きりの人生を生きのびるのだと訴え伝えたいからである。不確実性などという言葉が流行しているが、人生は二度とないのだということは、天地が変わろうと変わることのない、確実不変の原理なのである。（中略）人生には一面不確実なことがある。しかし厳として確実なものがあることを知らねばならぬ。そしてその一番大事なのが、人生は一度きりだということである」
真民さんの熱烈なファンで、「念ずれば花ひらくカレンダー」を作って取引先に配り、詩を刻んだ碑を建てるなどして、真民詩の普及に努めてこられた自動車用品の卸小売会社イエローハットの創業者鍵山秀三郎さんもこの詩に感銘を受けた一人です。詩碑の最大のものが、山口市佐山にあるイエローハット西日本物流センターの玄関前の植え込みに建てられています。横七メートル、縦三・五メートルもあります。歌手のさとう宗幸（むねゆき）さんもこの詩に曲をつけて歌い、キングレコードから発売されました。この詩は人生の冷厳たる事実に気づかせ、それ立ち向かうべき姿勢を再確認させてくれるから人気が高いのでしょう。
鍵山さんが坂村真民さんの詩墨（しぼく）に触れたのは、昭和六十二年(1987)九月、伊予銀行高松支店のロビーで真民さんの個展が開かれたときでした。鍵山社長（当時）は真民さんの詩と肉太で素朴な墨跡に触れたとき、それが深い叡知（えいち）を語っていることに驚きました。
そこで案内してくださった片山克（まさる）支店長（当時）にその場で、「ぜひお引き合わせしていただけませんか」とお願いしました。そこで片山さんは松山市の南に隣接している砥部（とべ））町のタンポポ堂と名付けられたご自宅に案内しました。七十八歳の真民さんの穏やかな表情から、詩や墨跡に表れていた通りの、私欲のない枯れたお人柄がうかがわれました。
談笑が進むうちに真民さんは「ちょっと待っていてください」と言って、とんとんとんと二回の書斎に上がっていかれました。そして色紙や短冊（たんざく）を持って降りてこられ、「これをどうぞ」と贈呈されました。こうして二人の交流が始まりました。
平成七年（1995）五月、イエローハットの西日本物流センターを造るきと、鍵山社長は玄関先に真民さんの詩碑を建立することにし、「二度とない人生だから」の詩を選びました。以前から真民さんの詩を普及したいと思っていたのです。なぜこの詩を選んだのか、鍵山さんはこう説明されました。
「真民先生は常々、『念ずれば花ひらく』の詩は鳥の胴体の部分、『二度とない人生だから』の詩は鳥の右の翼、そして『めぐりあいのふしぎ』の詩は鳥の左の翼に当たるとおっしゃっていました。それまで『念ずれば花ひらく』の真言碑はたくさん建立されていますが、『二度とない人生だから』は長大な詩であることもあって、なかなか刻まれていませんでした。そこで私は刻もうと思い立ちました。石に刻めば千年は持ち、子々孫々にまで伝えることができます」
ところが、これだけの長い詩を彫ることができる石は、そうそうあるものではありません。ようやく岐阜県恵那市の石材会社で、横七メートル、縦三・五メートル大のものを見つけたので、真民さんに見ていただきました。鍵山さんは当時を回顧して、目を細めて言いました。
「真民さんは『この石は私を待っていました』と言われ、横たえてある石材の上に乗って子どものよう小躍りされました。真民先生とのお付き合いは二十九年間でしたが、あんなにはしゃいでいらっしゃったのは、あとさき初めてでした」
こうして日本最大の詩碑が建立されました。



 

パーソナリティ	夢を語ろう My Friend【10分番組】
アシスタント	黒瀬英作さん
公開日	2025/03/25
過去の放送一覧	夢を語ろう My Friend【10分番組】